Nadja の日記
2012-03-22 01:29:00  いつまでも安定しない業界

私は今、とある銀行のシステムをつくってるのだけど、それはよくあるクラサバのシステムで、一部Webによる管理機能もあるという、ありきたりな、割とつまらないものだったりする。いや、そのシステム自体は3億円程度の規模のそこそこ大きなものなんですが。しかも業界ではわりと旬なレイテンシを問われる取引システムなんですが。

何がつまらないって、もう書いちゃってるけど、システムとしては昔からよくあるありきたりな鉄板システムだから。

この手のシステムを数十人規模で開発するときに陥りがちなデスマもまたありきたり。なんでこうどの会社もどのチームもみんなそろって同じ罠にキレイにハマってくれるのだろうと思うくらい。同程度の規模のシステムは過去に5、6回くらいは関わってきたけど、大ハマリせず最後までスムーズにいった試しはないですね。大体、どこかで1回以上大チョンボが発生する。これはもうこういうもんだと最近は諦めがちなんですが。

私がまだ新人開発者だった頃、ときの先輩が「システム開発というのは、今までの製造業と違ってまだ手法が確立されてないから、試行錯誤してるんだよ」といっていたのだけど、ITというものが世の中に出回り始めてから、というか、PCを使ったシステムが一般化し始めたのはおそらくWindows95が出て以降のことだと思うので、そこから数えても17年くらいは経つわけです。もうそろそろ成熟した手法があってもよろしかろうと。

…とはいったものの、実は開発の道具である言語であるとかフレームワークであるとか、もっと低層のハード基盤であるとか、そういうものは日々変化している。ここが、ITと他の製造業と違うところでもあり、開発手法がいつまでもふらついてる原因でもあるんじゃないかと思ったりもする。

よし、ならばうちはC/C++しか使わないんだ。この言語とフレームワークで盤石な開発手順を定義しよう!なんてのは、およそ幻想で終わることが多く、大体その言語ややり方では後々追っつかなくなってくるんです。JavaやC#やいろんなRADを使った方が高速開発できるし、システムもクラサバが全てだと思っていたらインターネットの普及でWebなんてものが登場してくる。ならこれからはWebだな。したらJavaでWebの開発を確立しようZE!といったら携帯電話アプリのが普及しはじめる。しかもキャリアごとに仕様が違ったり。携帯もやらないと利益がでないな、仕方がない、じゃあ業界標準のdocomoのアプリをつくろうず!っていったらスマホ様参上の巻でござる…

そんな中でもクラサバの構築というのはわりと昔からある開発なので、もう安定して良いだろうと考えるのだけど、そんなことはない。速度が求められればプロトコル(APL層の)も違ってくるし、そこのミドルウェアやフレームワークもいろいろあってどれを使うのが正解なのかわからない…というか、正解なんかない。いっぺん選択してしまったら、それを最後まで押し通すしかない。

ただまぁ、開発がいつもグダるのはインフラのせいじゃなく、やっぱり大人数でやるときの意思疎通のマズさが一番の原因なんですけどね。で、その意思疎通がなんでいつもうまくないのかというと、そこで開発のやり方が毎回違うから、という要因が入ってくる。例えば10年も全く同じやり方でものづくりしてるような製造業なら、もうその生産ラインでトラブルが起こるようなことは滅多にない。ITの場合はそうはいかんぜよ、ってところなんですのう。

今日も深夜まで仕事しながら、ふとそんなことを思ってみた。


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