Nadja の日記
2012-04-25 22:20:58  エピソード記憶

例えば、学生時代の受験勉強中によくラジオなどで耳にしていた曲を今聴くとその学生時代の情景がありありと思い出されるというような、そのときの状況に関わっていた某かの音や光景や匂いなどと記憶が紐づいているような記憶を『エピソード記憶』といいます。

私は最近(といっても半年ほど前ですが)32GBも入るWALKMANを買って、それに昔から今に至るまで買ってきたCDのほとんどの曲を入れているのだけど(MP3にすると入ってしまうのがスゴイのだけど)、それを全曲シャッフルで聴いてると頻繁に懐メロが流れてくるわけです。まぁ入れてるのだから当然ですがね。私にとってはもはや懐メロではなくなりつつあるんですが、それでもそれぞれの曲を聴くと、その曲をリアルタイムに聴いていた頃の記憶が呼び起こされます。記憶のWHERE条件ですね(といってる私の頭はもうSE脳)。

それで思うのだけど、そういう昔の記憶、懐かしい記憶、というか感覚というかこの感情は、それが古ければ古いほど、何か胸がつまる感じになるんですよね。懐かしさというのは、感覚としては享楽とか快感とかポジティブな部類ではなく、実は悲しさとか寂しさとか、どちらかというとネガティブな方向を持った感覚じゃないかと思う。それでも、懐かしいというその感覚は、痛覚とか苦痛などとは違ったネガティブなんだけど良性な感情だとも思う。

過去というのはもう二度と戻ってこないもので、思い出すことはできても、それと全く同じ感覚を得ることは最早できないわけです。中には物理的に失われているものもある。長いこと生きれば生きるほどそういうものは積み上がっていく。楽しかった、良かったと感じた記憶ほど、懐かしさの中でより郷愁というか寂寥の念に見舞われる。でも、楽しい記憶というのは多いに越したことはないと思うのも人の情念というものだったりする。

人の場合(人以外の存在に記憶があるのかは定かではないけど)は、同じ人とのつながりであったり、共感であったり、一緒に過ごした時間であったり、そういうものがより“良い”記憶になりやすいのだけど、逆に、嫌な記憶、思い出したくないトラウマになるような記憶というのもまた人との関係の中でつくられてしまうことが多かったりすると思う。

今日、たまたまWALKMANのシャッフルである曲が流れて、それが数年前のお盆に2年前に亡くなった祖母を墓参りに一緒に行くときに車でかけていたCDの曲だったのを思い出して、そのばあさんのことがいろいろ思い出されて、懐かしいやら寂しいやら何ともいえない感情になったのです。電車の中で。何かそのときだけ、自分がその電車の中ではない、その墓参りに行く車の中にいていろいろ物思いに耽っているような感覚でした。


コメントの書き込み
名前
内容

(左の文字列を入力)